古代ギリシャの医聖ヒポクラスは、人間と自然の調和を重視し、
体内の営みと自然のバランスが崩れたとき、病気になると考えた。
ふ~ん、なるほど。
「ヒポクラスの言っていることは正しい!」と、思わずうなってしまうのは、そういう現象をサハラが実体験しているからです。
サハラはアトピーがひどいにもかかわらず、よく海に行っていました。
当時、治療に通っていた大学病院のドクターは「紫外線は肌に良くないから、海はあまりお奨めできないなぁ。」と言ってサハラの海行きをいつも反対していました。
海に行く目的はスキューバダイビングです。
ダイビングをするためには、体にピッタリのウェットスーツを着なくてはなりません。
着たり脱いだりする度に、ウェットスーツのゴムと肌が擦れて確かに痛い思いもしました。
しかもボートで沖合いに出てしまえば、夕方までに戻ってこない場合も多々ありました。午前中のダイビングのあとは、ランチまでフリータイムになります。サハラ以外のダイバーは水着でボートの周りを素潜りしたり、ボートデッキで日光浴をしたりと、思い思いに過ごします。
一方サハラといえば、海から上がったあとタンクやBCジャケット等の重装備を外し、ウェットスーツ姿でまた海に入ります。水中でウェットスーツを脱いだ方が肌との摩擦が少なくなり肌へのダメージを軽減させることができるからです。
ウェットスーツを脱いで水着になったあと、シャワーを浴びます。が、シャワーのないダイビングボートも多かったので、その場合は乗船前に持てる限りのペットボトルに水を入れておきダイビングボートに持ち込んでおきます。
午前中いっぱい日差しを浴びたペットボトルの水は適温のお湯になっていて、シャワーにはピッタリでした。その簡易シャワーで全身の海水を落とし、愛用のゲルをパパッと塗って日陰で休憩してました。ダイバーの友人たちにサハラのアトピーは周知されていましたので、友人たちも「ペットボトル持ち込み」に協力してくれ、ペットボトルシャワーの水切れの心配はありませんでした。
そんなにしてまでダイビングがしたかったのか?
と聞かれれば、その答えはYESです。
主治医に反対されても、実際ダイビングに行っているとき(5日~1週間)や、帰ってきてからの1週間くらいはアトピーの調子が良かったものです。それを主治医に伝えても、目の前にいるアトピーが軽快しているサハラを見ても「偶然ですよ」「紫外線や海水がアトピーにいいはずがない」と言うばかりでしたが・・・。
今思うと、あの頃のサハラにとって心身のストレスを発散するためにもダイビングは必要だったのです。誰でもそうだと思いますが、自分の好きなことをしている時はストレスフリーの状態になれると思います。
ストレスがない時、アトピーはおとなしくしている!
--- これはサハラが実体験して分かったことです。
ヒポクラスの唱えているように、サハラは人間と自然の調和を考えていました…。まさか、そんな大そうなことを考えているはずもありません。ただ、海の中で浮遊していると、いろいろなことから解放されサイコーに気持ちが良かった、ということです。結果的にサハラにとってのダイビングは、体内の営みと自然のバランスをとる恰好の組み合わせだったようです。
さて、前置きが長くなりましたが、そもそもアトピー性皮膚炎とはなんでしょう?
『アトピー』とはギリシャ語で、「どこにもない、普通でない」との意。こんなわけの分からない名前の付いたアトピー性皮膚炎って一体、なに?
多くの医学書や文献には、おおよそ次のようなことが書かれています。
アトピー性皮膚炎は、多くは遺伝によるアトピー体質が素因にあり、ここに様々な刺激によって肌が炎症反応をおこし、かゆみのある湿疹ができたりするもの。かさかさしたりじくじくしたり、年令や部位 によって特徴はありますが、一般的に慢性的で繰り返し症状のでる皮膚疾患です。肌に刺激を与えないよう気をつかいながら、気長に疾患とつきあっていくことが必要です。
そして、そのためには
肌の水分が蒸発するのを防ぎ、肌にうるおいを保たせたり、外部からの刺激物から体を守るバリアの役割をしているのが、皮脂膜や、角質細胞間脂質、角質細胞中のNMF(天然保湿成分)です。アトピー皮膚の人の肌は、炎症をおこしていないときでも、皮脂膜、角質細胞間脂質やNMFが少なく、バリア機能がきちんと働いていません。そのため、肌のうるおいが外に出ていきやすく、一方では、外部からの刺激が肌に入り込みやすくなるのです。こうして肌はより過敏になり炎症をおこすことで、肌表面 の状態は-層悪化してしまいます。肌の保護、保湿機能を十分に補い、肌のバリア機能を高めてあげることが大切です。
つまり、スキンケアはとっても大切ということです。
サハラは好きなダイビングを続けるために、たくさんのペットボトルに水を入れてダイビングボートに持ち込みました。そして、海の上でもスキンケアを実践していました。
好きなことをするためには、少々の障害は乗り越えられるしそのための努力もいとわないでしょう。友人の協力は大きなサポートになりましたが、いちばん大事なのは、「自分でおこなう」ことです。他人任せにしていてはアトピーは軽快しません。なにごともそうですが、自分で学び、自分で気づき、自分で実践する。このことが大事です。
サハラの主治医は、「アトピー治療は修行と同じだ。自分でやらなければどうにもならない。われわれ医者やスタッフはあくまでもサポーターにすぎない」と言っていました。
「必ず治しますよ」と言ってくれるドクターを探していた時期もありました。実際そういうことをいうドクターとも出会いましたが、結果はダメでした。「アトピーは自分で治す…」、そう気づいたときからサハラのアトピーは軽快への道を歩き出したように思います。
■参考資料 (出展/資生堂薬品)

健康な肌
角質細胞がレンガ状に並び、その間に角質細胞間脂質がぎっしり。皮脂膜が肌をしっかりおおっている。バリア機能は正常。

アトピー性皮膚炎の肌
皮脂膜が少ない上、角質細胞にすきまができてスカスカの状態。すきまから刺激の原因が侵入しやすく、肌のうるおいを保てない状態。